PHILOSOPHY杢目金という矜持

日本古来の金属工芸である「木目金」技法に、
時代の息吹を通わせ、魅力を現代に蘇らせたのが
株式会社 杢目金屋の髙橋正樹代表です。その根底には、
伝統工芸はただ大事に保存すべきものではなく、
日常的に使い、素晴らしさが実感できてこそ
技術として生き残ることができるという
強い信念があります。「杢目金」というネーミングには、
そんな作り手の矜持が込められています。

木目金 制作者について

株式会社 杢目金屋
代表取締役 髙橋 正樹

髙橋 正樹
1997年
東京藝術大学大学院美術研究科彫金専攻を修了後、同大学美術学部工芸科彫金研究室で講師を務めると同時に杢目金屋を創業し、現在の株式会社 杢目金屋に至る。
2012年
木目金に関する一連の論文が評価され日本で唯一 木目金に関する「博士(美術)」を取得。杢目金屋の代表として、研究、デザイン、職人の指導および全ての作品の品質確認に携わる。
2012年
国際的なプロダクトデザイン賞である「reddotデザイン賞」受賞(ドイツ)
2015年
結婚指輪として初めて「グッドデザイン賞」受賞
2016年
「reddotデザイン賞」受賞
2017年
「reddotデザイン賞」受賞
2018年
第7回「ものづくり日本大賞」経済産業大臣賞受賞
「i Fデザイン賞」受賞(ドイツ)

作り手の思い

作者の思い

私が木目金に惹かれた理由は、偶然性を活用するという可能性を秘めた技術だったからです。一般的な金属工芸では自分の技術以上のことはできず、素材をねじ伏せ、コントロールするのが基本的なスタンスです。木目金も基本は同じですが、それでも予想外に変化する。それを活かして作っていく醍醐味があり、そこには金属との対話が不可欠で、想像を超えた変化がその都度起こるのも刺激的です。これを広めたいと思ったのがきっかけでした。ただ技術というのは、実際に使われ、新しい価値感を創出できなければ生き残っていけないと思います。それがたとえ伝統技術であっても。だからこそ作り手と使い手をつなぐような発想を取り入れ、制作過程の加工痕が模様を生む木目金の特性を最大限にデザインに活かしています。

作者の思い

クレドールの45周年記念モデルは、「風杢」のコンセプトによって、素材が本来持っている自然との関係性がスムーズにデザインにつながったと思います。木目金は人間の手によって揺らぎを活かす技法であり、見る者もそれを感じ取るのではないでしょうか。見る度に異なる表情を見せ、形を変えてもまるで鉱物が生きているような。その生命感は、時を刻み続ける時計にも通じ合うと思います。さらに時計との親和性でいえば、木目金は泰平の時代には武器としてではなく、装束のひとつとなった刀の鐔(つば)の装飾から生まれました。時計もまた男性にとってアクセサリー的な要素も持ち合わせていると思います。現代になり、その時計に木目金が用いられるというのもただの偶然ではないように感じるのです。

制作の流れ

  • 製作の流れ表現する模様を想定し、18Kホワイト・イエロー・ピンクゴールド、シルバーの金属プレートの厚さを0.15~0.2㎜に設定。一枚一枚表裏をヤスリで研磨し、完全脱脂する。
  • 製作の流れ金属プレートを積層し電子炉にて拡散接合(※)する。素材ごとに融点の異なる金属を最適なバランスの温度、時間、圧力にて接合することで強度の高い積層金属板が作られる。
    ※拡散接合:接合材を用いず、金属を溶かすことなく加熱・加圧し、原子の拡散を利用して接合する方法
  • 製作の流れリューター(電動切削工具)により一つ一つ手作業で彫刻を施しては加熱とローラーでの伸ばしを繰り返す。場所により彫りの深さを変えることで表面に現れる金属の色を変え、理想通りの木目模様が表現できるよう仕上げる。
  • 製作の流れ板厚0.8㎜になるよう慎重に均一に圧力をかけて伸ばし、平面に木目模様を浮かび上がらせる。模様が際立つよう、表面仕上げを行う。